初恋が君に届くまで

「むぎむぎ、おっはよ!」

月曜になり出社すると、いつものように友美が元気に現れた。

「まだまだ残暑厳しいねえ。今夜飲みに行かない? 積もる話もあることだし」
「友ちゃん、なにかあったの?」
「えへへー、実は彼氏ができました!」
「えっ、そうなのね! おめでとう!」
「ありがとう……って、なんかつむぎ雰囲気変わった? きれいなお姉さんって感じがする」

つむぎは内心ギクリとする。
どういうことだろう?

まさか、丈とつき合い始めたことに気づかれたとか?

(いや、いくらなんでもそれはないよね)

うんうんと心の中で頷き、仕事終わりに友美と飲みに行くことにした。

定時で仕事を終えると、二人で一緒に居酒屋に行く。

ビールで乾杯し、友美は早速身を乗り出してきた。

「聞いて聞いて、誰とつき合い始めたと思う?」
「それは友ちゃんがってことよね?」
「もちろん。え? ほかに誰か彼氏できた人いるの?」
「いえいえ、そうじゃなくて。えーっと、友ちゃんの彼氏ね。待って、それを訊くってことは私も知ってる人なの?」
「あ、バレた?」

そう言いつつ、友美は嬉しそうだ。

「いや、バレバレだよ。じゃあ会社の人ってこと? 誰だろう……」
「同じ部署とは限らないよ?」
「やだ、友ちゃん。もう言いたくて仕方ないんでしょ。もったいぶらないで教えて」
「そう? じゃあ驚いてね。お相手は、営業課の岡田さんでーす」
「え、え? ええー!? 岡田さんって、あの岡田さん?」
「おっ、いい驚きっぷり。その岡田さんだよ」

ひゃー!とつむぎは両手で頬を押さえる。

「なんかすごくお似合い! お二人とも明るくて楽しそうだもん。よかったねえ、友ちゃん」
「ありがと。きっかけはつむぎの話をしたことだったんだよ」
「そうなの?」
「うん、岡田さんに訊かれたの。綾瀬さんとつむぎちゃん、つき合ってるの? って」

またもやつむぎはギクリとした。

「な、なんでまた、そんな話に?」
「私もそう思って訊いたんだ。そしたら、実は二人がいい雰囲気なのを感じたとかって言うから、詳しく教えて! って、飲みに行ったの。そこで意気投合して、何度か会うようになったってワケ」
「そうなんだ。でも本当にお似合いだと思う。よかったね、友ちゃん」
「ありがと。で、つむぎは? 岡田さんの勘は当たってたんじゃない?」

うっ……とうつむいてから、つむぎはコクリと頷く。

「やっぱり! じゃあ綾瀬さんとつき合ってるの?」
「えっと、そうなったばかり、です」
「つき合い初めってこと? やーん、初々しい! しかもつむぎが綾瀬さんの片思いの相手だったってことよね。えっ、それって高校の同級生だった頃からの?」
「そう、みたい、です」
「ひゃー、なんて尊いの。綾瀬さんの愛はそんなにも深いのね。どうりでつむぎ、雰囲気変わった。愛されオーラでキラキラしてるもん」
「そんな、友ちゃんこそ幸せそうだよ?」
「もちろん! でもよかった。私達一緒に彼氏ができたなんて、嬉しい。お互いデートにいそしみつつ、またこうやって二人で飲もうね」

うん!とつむぎも笑顔で頷いた。