「おはよう、つむぎ。よく眠れたか?」
翌朝。
リビングダイニングに入って来たつむぎに、丈はカウンターの中から声をかける。
「うん。寝心地がよすぎて、もうぐっすり。ごめんなさい、寝坊しちゃった」
「いや、まだ8時前だ。土曜日なんだから、もっとゆっくりしててもいいのに」
「充分寝たから平気。それより綾瀬くん、よかったら朝ご飯作らせて」
「え、いいのか? 取り敢えず食パンとサラダとヨーグルトは買ってあるけど」
「じゃあ、なにか適当に作るね」
そばに来て手を洗うつむぎに、丈はまだ夢でも見ているような気分になる。
(本当に俺の部屋につむぎがいるんだよな?)
するとつむぎが、「あわわっ」と焦ったような声を上げた。
どうしたのかと目をやれば、まくった服の袖が下がってきて水に濡れそうになっている。
丈は後ろから手を伸ばし、つむぎのふわりと柔らかいブラウスの袖を押さえた。
「あっ、ごめんね綾瀬くん。ありが……」
振り向いたつむぎと唇が触れそうになり、丈はドキッとする。
つむぎも目を見開き、真っ赤な顔で固まった。
艷やかな唇に目が釘付けになり、知らず知らずのうちに顔を寄せてしまいそうになる。
(ダメだ、理性が飛ぶ)
丈は視線をそらして水を止めると、つむぎにタオルを手渡した。
「ほら、これで拭いて」
「あ、うん。ありがと」
くるりと背を向けて、気持ちを落ち着かせながら冷蔵庫を開ける。
「食材、ろくなものがないな。卵と……卵と、卵」
尻すぼみになる声に、つむぎがクスクス笑って隣に並び、一緒に冷蔵庫を覗き込んだ。
「じゃあこの、卵と卵と卵を使ってもいい?」
つむぎは卵を3つ手に持って、にこっと笑顔をみせる。
「ああ、うん。もちろん」
動揺を悟られないよう、咳払いを交えながら頷いた。
「あとは牛乳とバターも少し」
「どうぞ、少しと言わずたっぷりと」
「ふふっ、ありがとう」
可愛い笑顔に見とれていると、つむぎは手際よく牛乳と卵を混ぜ、食パンを浸してからたっぷりのバターで焼いた。
「いい匂い。うまそう」
「フレンチトーストなの。お口に合うといいんだけど」
「合うよ、合います、合いますとも」
「あはは! なあに? その三段活用」
フライパンを片手に笑いかけてくれるつむぎが愛おしい。
(こんなに幸せな時間がこの世にあるとは……)
大げさではなく本気で丈はそう思った。
翌朝。
リビングダイニングに入って来たつむぎに、丈はカウンターの中から声をかける。
「うん。寝心地がよすぎて、もうぐっすり。ごめんなさい、寝坊しちゃった」
「いや、まだ8時前だ。土曜日なんだから、もっとゆっくりしててもいいのに」
「充分寝たから平気。それより綾瀬くん、よかったら朝ご飯作らせて」
「え、いいのか? 取り敢えず食パンとサラダとヨーグルトは買ってあるけど」
「じゃあ、なにか適当に作るね」
そばに来て手を洗うつむぎに、丈はまだ夢でも見ているような気分になる。
(本当に俺の部屋につむぎがいるんだよな?)
するとつむぎが、「あわわっ」と焦ったような声を上げた。
どうしたのかと目をやれば、まくった服の袖が下がってきて水に濡れそうになっている。
丈は後ろから手を伸ばし、つむぎのふわりと柔らかいブラウスの袖を押さえた。
「あっ、ごめんね綾瀬くん。ありが……」
振り向いたつむぎと唇が触れそうになり、丈はドキッとする。
つむぎも目を見開き、真っ赤な顔で固まった。
艷やかな唇に目が釘付けになり、知らず知らずのうちに顔を寄せてしまいそうになる。
(ダメだ、理性が飛ぶ)
丈は視線をそらして水を止めると、つむぎにタオルを手渡した。
「ほら、これで拭いて」
「あ、うん。ありがと」
くるりと背を向けて、気持ちを落ち着かせながら冷蔵庫を開ける。
「食材、ろくなものがないな。卵と……卵と、卵」
尻すぼみになる声に、つむぎがクスクス笑って隣に並び、一緒に冷蔵庫を覗き込んだ。
「じゃあこの、卵と卵と卵を使ってもいい?」
つむぎは卵を3つ手に持って、にこっと笑顔をみせる。
「ああ、うん。もちろん」
動揺を悟られないよう、咳払いを交えながら頷いた。
「あとは牛乳とバターも少し」
「どうぞ、少しと言わずたっぷりと」
「ふふっ、ありがとう」
可愛い笑顔に見とれていると、つむぎは手際よく牛乳と卵を混ぜ、食パンを浸してからたっぷりのバターで焼いた。
「いい匂い。うまそう」
「フレンチトーストなの。お口に合うといいんだけど」
「合うよ、合います、合いますとも」
「あはは! なあに? その三段活用」
フライパンを片手に笑いかけてくれるつむぎが愛おしい。
(こんなに幸せな時間がこの世にあるとは……)
大げさではなく本気で丈はそう思った。



