初恋が君に届くまで

「なんだろなー? 綾瀬くん、最後はちょっとおかしかったよね」

帰宅したつむぎは、バッグを床に置いてボフッとベッドに倒れ込む。

丈の送迎会ではなぜだかいつもより飲み過ぎてしまい、これ以上飲めばまたひとり言を口にしそうで、二次会はやめておいた。

今も身体がふわふわする感覚があり、やはり思った以上に酔っているらしい。

ぼんやりと天井を見上げたまま考えた。

「なんだか夢見てた気分。綾瀬くんが私の会社に来てたなんて。高校の3年間はひと言も話さなかったのに」

会議室で打ち合わせをしたり、一緒に社員食堂に行った日々が懐かしい。

「でももうそれも終わりか。またいつもの現実が戻ってくるんだよね」

心の中に小さな空虚を感じるのはなぜだろう。

「あれかな? 燃え尽き症候群。システムとウェブデザインの刷新に夢中だったもんね。でもまだデザインの改良は必要だし、これからもがんばらないと!」

気合いを入れて身体を起こした時だった。
スマートフォンがピコン!と鳴る。

「友ちゃんからのメッセージかな?」

そう思いつつスマートフォンを手に取ると、ポップアップには【渡辺へ】とあった。

見慣れないアイコンは、真っ青な空と海の写真。

「誰だろ?」

首をひねりながら画面をタップしてメッセージを開く。

次の瞬間、つむぎは目を見開いて息を呑んだ。

【渡辺へ
再会できて嬉しかった。
これからもよろしくな。
青嵐高校 元3年1組
青組応援団長 綾瀬 丈】