きみが光るたび、淡くなる

「・・・そうしようか。絹、久しぶりにアレやるか?」
「ついにうるやんも振ってきた⁉やんないって!」
やらないのか・・・なかなかに面白いとは思うんだが。
「・・・気に入ってないなら、他の芸を考える?」
「芸じゃないんだよアレ!事故なの!」
・・・そういえば芸じゃなくて、たまたま噛んだだけなんだっけ?
「絹ちゃんは我儘やなぁ。しょーがないからリーダーとして俺が話すわ!」
絹をイジりながらも助け船を出し、席を立つ冬貴。
「えー、うーちゃん!まずは大学卒業おめでとう!」
「「「「おめでとーう」」」」」
「そして!才能があるわけでもなければファンがいるわけれもない俺たちを拾って、育てて、期待してくれてありがとう!あれは運命の出会いだったんだと、俺たちは信じています!」
ニコニコと、純粋に夢を追いかける少年のような笑顔で、冬貴がみんなを見回す。
「俺たちに夢を見させてくれてありがとう!必ずその夢を現実にして見せます!じゃあみんな、ドリンクをもって!」
冬貴のその声で、全員が飲み物が入ったグラスを手にし、
「うーちゃんの卒業を祝って!そして俺たち6人の明るい未来、夢が叶う瞬間を願って!カンパーイ!」
「「「「「カンパーイ」」」」」
6人でグラスを合わせ、ひと口だけ飲む。
ジンジャーエールだ・・・私が好きだと言っていたのを覚えているんだろうか。
いや、でも、日常の会話でボソッと言っただけのような・・・。
「食べるぞ~」
「まじでレストランやん、我ながらスゴ」
「ナルシスとモード入んな絹」
「そんなモードねぇよ」
絹も作ったと言っていたか・・・2人で料理配信もできるな。
「ねーそれなに?」
「ん?カルパッチョ。食べてみるか?」
「うん」
こたと絹の和やかな兄弟風、私から見て右の空間。
「逢、そのネギ食べようか?」
「は?食えるし」
「無理しなくても俺が食べてあげるよ」
「まじうざ。食えるって」
冬貴と逢のバチバチな兄弟風、私から見て左の空間。
そして・・・。
「どう?美味しい?」
「ん、やっぱ料理上手いんだな。ほんとにレストランみたいだ」
「ふふ、そうでしょ。雨瑠ちゃんにそう言ってもらえるのが一番嬉しいなぁ」
私の正面で、ニコニコと微笑んでいる月葵。
月葵は得意を伸ばすためにダンスを沢山していたからか、体つきがよくなった。
加えてボイトレの先生にも褒められるくらい歌の実力をついているんだから、きっと要領がいいんだろう。
「どうしたの?」
スプーンを唇に当てたまま、首をかしげる月葵。
顔は可愛らしいのに男らしい体つきをしているものだから、そのギャップを意識すると顔が熱くなった。
「い、いや・・・みんな体つきがよくなったなと思って」
あえて『みんな』と言ってみたものの、月葵は私の思考など分かっていると言わんばかりに笑むだけ。