きみが光るたび、淡くなる

とりあえず自分の部屋に入り、手を洗ってからリビングに行くと、リビングのテーブルに紙が置いてあった。
『落ち着いたらみんなのお部屋に来てね!』と、可愛らしい字体・・・おそらくこたが書いたであろうメッセージ。
合鍵を使って勝手に入ったな・・・。
少し呆れていると、となりにもう一枚紙があることに気づいた。
『勝手には言ってごめんなさい。紙を置いてすぐに出ました』
整った字でそう書かれている。
おそらく絹だろうか・・・漁られていないかなんて心配はしていないが、さすがしっかりしてるな。
荷物を置いてスーツから私服に着替え、『落ち着いたら』でいいとのことだったので、珈琲を飲んで一息つく。
あまりに遅く行くと可哀想なので、10分くらい経って部屋を出ることにした。

「うーちゃん!卒業~?」
「「「「「おめでとー!」」」」」
パァーンッ‼
「うおっ・・・」
「なんでお前が驚いてんの絹」
部屋に入ると、5人が玄関で待ち構えていた。
冬貴の言葉で全員が声を合わせ、クラッカーが鳴る。
何故か驚いている絹と突っ込む逢を無視して、月葵とこたが前に出てきた。
「うーやんリボンだらけ~」
私が頭からかぶったクラッカーのリボンをせっせと取ってくれるこた。
「お疲れ様、雨瑠ちゃん。中へどうぞ」
王子のように手を差し出し、靴を脱いだ私の手を引いて仲間で連れて行ってくれる月葵。
触れた手にどきりとしながら奥に進むと・・・。
「うーちゃんの卒業記念!今日はパーティーだよ~」
「料理はオレと絹で作ったんだ」
テンション高めな冬貴が手で指したほうには、『我らがプロデューサー・雨瑠ちゃん! 卒業おめでとう‼』と印刷された幕がかかっていた。
幕の手前には、月葵が言った通りたくさんの料理。
「うわ・・・いつ用意したの、これ」
「今日!色んな部屋のキッチン使ったんだよ~」
大変だったぁ、と笑う月葵の肩を、絹がポン、と叩く。
「ありがとう・・・卒業前でこたの誕生日パーティーも卒業パーティーも忙しくてできてなかった。今週中に必ずやろう」
今日は3月20日。
こたの誕生日は3月3日で、高校の卒業式は3月8日だ。
「そーゆーところってうっさん優しさ出るよね」
逢、それは誉め言葉として受け取っていいのか?
ただ、この半年でほんとに距離が縮まって、私も話すようになったし、お互い軽口を叩けるくらいにはなった。
「ご飯食べたら~、プレゼントタイム!そのあと今後の話とかもできたらいいな~って思ってま~す」
いつもドライな絹も今日はテンションが高く、これからの予定を教えてくれる。
にしても・・・。
「プレゼント?そんなものいらないのに・・・」
「いやいや、いるでしょ!」
「気持ちだけで・・・売れてから返してくれれば」
「そりゃ売れてからはもっと返すよ!」
別に私がお金をかけて育てているわけではない。
父からもたった土地を売って得たお金を使っているわけだから、実質父のお金だろう。
「まぁまぁ、もう買っちゃったから受け取ってよ!さ、うーちゃんお腹空いてない?ご飯食べよ!」