誰も愛さない天才王の覚醒 〜俺が新・王? 両親が命懸けで守ってくれた国なので、十人の最強の寵妃と完璧に経営してみせます〜

深夜、王宮の最深部にある執務室。

アルフレッドは机の上に巨大な羊皮紙を広げ、自ら羽ペンを走らせていた。

書かれているのは、前代未聞の国家法案――『新・後宮法(側室十人制および正妃廃止案)』。

「正妃を一人定めれば、その実家が最大の利権を得て他を圧迫する。ならば正妃の座を永遠に空席とし、十人の側室に『完全同等』の権限を与える。……十の勢力が互いを牽制し合い、誰一人として頭一つ抜け出せない絶対の均衡を作る」

机の端には、三通の密書が置かれていた。

宛先は、かつて母エレナと共に戦い、いまや各界の重鎮となっている三人の女性たち――フィオナ、ブリジェット、そしてカタリナ。

『貴女方の最も優秀な娘を、私の後宮に差し出されたせ。彼女たちを愛することはない。だが、その頭脳と武勇、情報網をこの国のために使わせてもらいたい』



翌日、秘匿回線を通じて三者からの返信が届いた。

『面白いじゃないの! 我がローゼンタール商会の天才、クロエを送り込むわ。王様を破産させないでね?』(フィオナ)

『ふん、うちの娘ブリジットは剣しか振れんぞ。だが、お前を守る盾にはなる。存分に使え』(ブリジェット)

『セシルを向かわせます。あの子なら、王の影として完璧に動くでしょう。頼もしい義理の息子(王)へ』(カタリナ)

母の戦友たちの全面的な協力を得たアルフレッドは、冷たい笑みを浮かべた。

「準備は整った。……ハミルトン公爵、貴公らの思い通りにはさせない」



15歳の若き王は、自らに深く誓った。

「私は誰も愛さない。この十人の側室たちも、ただの国政の駒だ。愛なき後宮こそが、この国に真の平和をもたらす」