古代の法律が撤廃されたことにより、かつて後宮に囚われていた側室たちには、それぞれの「自由」が与えられた。
かつては後宮という狭い籠の中で、お互いの足の引っ張り合いや陰謀に明け暮れていた女性たち。
だが今、彼女たちはエレナという強靭な芯を持つ一人の女性と出会い、共に生死をかけた戦いを潜り抜けたことで、揺るぎない「友
情」と「誇り」を手に入れていた。
別れの日は、快晴の朝だった。
王宮の中庭に、旅立ちの支度を整えた妻たちが集まっていた。
「エレナ、本当に世話になったわね」
豪快に笑ったのは、第四側室だったフィオナだ。
彼女は豪華なドレスを脱ぎ捨て、動きやすい上質な旅装に身を包んでいた。
「私はこれから、自分の商会を立ち上げるわ。後宮で培った『人間の裏を読む目』があれば、世界中の商人たちを相手にするなんて朝飯前よ。クインテラ王国で一番の大商人になって、エレナ、あなたとアルフレッドに山のような金貨を寄付してあげるわね!」
「フィオナ様……本当にありがとうございます。貴女の情報がなければ、私は何度も死んでいました」
エレナが深く頭を下げると、フィオナは「よしてよ、水臭い」と笑って彼女の肩を叩いた。
続いて前に出たのは、武闘派の第5側室・ブリジェットだ。
彼女はすでに重厚な鎧を纏い、腰には名刀を差している。
「私は近衛騎士団の副団長として、王宮の警護体制を一から叩き直す。エレナ、もう二度と刺客の一人もお前の部屋に通させはしない。……それから、あのアルフレッド少年の剣の筋筋も、私が直々に鍛え上げてやる」
頼もしい言葉に、エレナは胸を熱くした。
最後に、影のように佇んでいた第三側室のカタリナが、静かに笑みを浮かべて歩み寄ってきた。
「私は王国の情報網(諜報機関)を裏から統括することになったわ。……エレナ、貴女がどんなに平民と蔑まれようと、私たちがついている。貴女は誇り高き私たちの『リーダー』なのだから、堂々としていなさい」
「みなさん……」
エレナの目から溢れ出る涙。
かつては敵であり、恐怖の対象だった側室たち。
だが今や、彼女たちは誰よりも信頼できる「一生の戦友」となっていた。
フィオナ、ブリジェット、カタリナの三人は顔を見合わせると、どこか楽しそうに、そして力強くエレナに告げた。
「いい、エレナ。私たちの絆は永遠よ。……もし将来、この愚かな貴族たちがまた調子に乗って、あなたやアルフレッドを追い詰めるようなことがあったなら」
フィオナが不敵に微笑む。
「次は、私たちが育て上げる『最高の娘たち』をあなたの元へ送り込むわ!」
「娘たち……ですか?」
「ええ。私たちの血と魂を引き継ぐ、最強の娘たちよ。彼女たちが、必ずあなたとアルフレッドの盾となり、剣となる。だから何も恐れることはないわ」
「……はい! ありがとう、みんな……本当にありがとう!」
爽やかな風が中庭を吹き抜ける中、かつての側室たちはそれぞれの目的地へと旅立っていった。
彼女たちが去った後、後宮は静まり返ったが、エレナの心にはもう孤独の影はなかった。
離れていても、自分たちは強い絆で結ばれている。
そして将来、もし再び闇が訪れたなら、彼女たちの「絆」は次の世代へと受け継がれていくのだと、エレナは深く確信していた。
だが、この時のエレナはまだ知らなかった。
彼女たちが遺したこの「約束」が、十数年後、息子のアルフレッドが直面する絶体絶命の危機を救う、最大の鍵となることを――。
かつては後宮という狭い籠の中で、お互いの足の引っ張り合いや陰謀に明け暮れていた女性たち。
だが今、彼女たちはエレナという強靭な芯を持つ一人の女性と出会い、共に生死をかけた戦いを潜り抜けたことで、揺るぎない「友
情」と「誇り」を手に入れていた。
別れの日は、快晴の朝だった。
王宮の中庭に、旅立ちの支度を整えた妻たちが集まっていた。
「エレナ、本当に世話になったわね」
豪快に笑ったのは、第四側室だったフィオナだ。
彼女は豪華なドレスを脱ぎ捨て、動きやすい上質な旅装に身を包んでいた。
「私はこれから、自分の商会を立ち上げるわ。後宮で培った『人間の裏を読む目』があれば、世界中の商人たちを相手にするなんて朝飯前よ。クインテラ王国で一番の大商人になって、エレナ、あなたとアルフレッドに山のような金貨を寄付してあげるわね!」
「フィオナ様……本当にありがとうございます。貴女の情報がなければ、私は何度も死んでいました」
エレナが深く頭を下げると、フィオナは「よしてよ、水臭い」と笑って彼女の肩を叩いた。
続いて前に出たのは、武闘派の第5側室・ブリジェットだ。
彼女はすでに重厚な鎧を纏い、腰には名刀を差している。
「私は近衛騎士団の副団長として、王宮の警護体制を一から叩き直す。エレナ、もう二度と刺客の一人もお前の部屋に通させはしない。……それから、あのアルフレッド少年の剣の筋筋も、私が直々に鍛え上げてやる」
頼もしい言葉に、エレナは胸を熱くした。
最後に、影のように佇んでいた第三側室のカタリナが、静かに笑みを浮かべて歩み寄ってきた。
「私は王国の情報網(諜報機関)を裏から統括することになったわ。……エレナ、貴女がどんなに平民と蔑まれようと、私たちがついている。貴女は誇り高き私たちの『リーダー』なのだから、堂々としていなさい」
「みなさん……」
エレナの目から溢れ出る涙。
かつては敵であり、恐怖の対象だった側室たち。
だが今や、彼女たちは誰よりも信頼できる「一生の戦友」となっていた。
フィオナ、ブリジェット、カタリナの三人は顔を見合わせると、どこか楽しそうに、そして力強くエレナに告げた。
「いい、エレナ。私たちの絆は永遠よ。……もし将来、この愚かな貴族たちがまた調子に乗って、あなたやアルフレッドを追い詰めるようなことがあったなら」
フィオナが不敵に微笑む。
「次は、私たちが育て上げる『最高の娘たち』をあなたの元へ送り込むわ!」
「娘たち……ですか?」
「ええ。私たちの血と魂を引き継ぐ、最強の娘たちよ。彼女たちが、必ずあなたとアルフレッドの盾となり、剣となる。だから何も恐れることはないわ」
「……はい! ありがとう、みんな……本当にありがとう!」
爽やかな風が中庭を吹き抜ける中、かつての側室たちはそれぞれの目的地へと旅立っていった。
彼女たちが去った後、後宮は静まり返ったが、エレナの心にはもう孤独の影はなかった。
離れていても、自分たちは強い絆で結ばれている。
そして将来、もし再び闇が訪れたなら、彼女たちの「絆」は次の世代へと受け継がれていくのだと、エレナは深く確信していた。
だが、この時のエレナはまだ知らなかった。
彼女たちが遺したこの「約束」が、十数年後、息子のアルフレッドが直面する絶体絶命の危機を救う、最大の鍵となることを――。



