誰も愛さない天才王の覚醒 〜俺が新・王? 両親が命懸けで守ってくれた国なので、十人の最強の寵妃と完璧に経営してみせます〜

「――ようこそ、皆様」

後宮の大庭園で、十人の側室が一堂に会する初めての茶会が催された。

主催したのは、大太后となったエレナである。

穏やかな笑顔で見守るエレナの前に、十人の少女たちが対峙していた。

真っ先に口を開いたのは、豪華絢爛なドレスを纏った第4側室グレースだった。

「おーほほほ! 平民出身のお方が混ざっているとお聞きしてどうなることかと思いましたわ。このような格式高いお茶会、礼儀作法もご存知ないのではなくて?」

扇子で口元を隠し、アリアを露骨に見下すグレース。

しかし、アリアは穏やかに紅茶を一口すすると、淡々と言い放った。

「ハミルトン様。そのお茶に含まれる茶葉の輸入関税、ご実家の領地で12%不正に免除されていますね。礼儀よりも先に納税の義務を果たされた方がよろしいかと」

「な、なんですって!?」

顔を真っ赤にするグレース。

さらに、第9側室メイリンが優しく微笑みながら追撃する。

「グレース様、興奮なさると血圧が上がりますわよ。そのお茶には興奮を鎮める東洋の薬草を少し混ぜておきましたの。……あ、毒ではありませんからご安心を」

「お前たち、身の程を知れ!」と立ち上がろうとするグレースの前に、巨大な影が落ちる。

第1側室ブリジットが、腕組みをしながら圧迫感たっぷりに見下ろしていた。

「おいおい、茶会だろ? ネチネチうるせぇんだよ。文句があるなら拳で語るか?」

「ひっ……!」

大貴族の威光など全く通用しないカオスな空間。

エレナは、かつて自分が苦しめられた「ドロドロとした後宮」が、息子が集めた強烈な才能たちによって全く別の場所へ変貌していることを感じ、思わずクスリと微笑んだ。

(アルフレッド……あなたは誰も愛さないと言ったけれど。この子たちは、あなたの想像以上に頼もしい味方になるかもしれないわね)

十人の女たちの、静かなる「値踏み」とプライドの激突が、ここに火蓋を切ったのだった。