[麗視点]
雨の日の放課後。
誰もいない旧校舎の理科室は、ひどく静かだった。
私がドアを開けたときには、もうすべてが終わっていた。
床に倒れ伏しているのは、サクラピンクの絵の具をぶちまけたような、冷たくなった詩織。
その傍らで、返り血を浴びてひまわりのように笑っているのが、一ノ瀬陽菜。
「あはは……。これで、私の勝ち。遥斗くんの画面の中からも、現実からも、詩織は消えた。もうメッセージは届かない。既読もつかない」
陽菜は狂ったように笑いながら、詩織のスマホを何度も踏みつけて粉々に壊していく。
「……陽菜。あんた、本当に醜いね」
私が冷たく声をかけると、陽菜はハッとしたように振り返った。
「麗? あ、違うの、これはね……」
言い訳をしようとする陽菜の細い首に、私は迷わず、実験台の上に置いてあったメスを突き立てた。
「がはっ、……あ、……れ、い……?」
ドサリ、と陽菜が崩れ落ちる。
ひまわり色の服が、どす黒い赤に染まっていく。
私は返り血を拭うこともしないまま、手元のメスをじっと見つめた。
鼓太郎も、遥斗も、みんなこの事態を知ったらどう思うかしら。
画面の中だけでしか愛し合えなかった不器用な二人は、もう二度と交わることはない。
私は、理科室の冷たい床に転がる陽菜のスマホを拾い上げた。
画面は割れているけれど、まだかろうじてバックライトが灯っている。
そのカメラレンズを、暗い理科室の奥、じっと息を潜めてこの惨劇を見ていた「あなた」の方向へと向ける。
レンズの向こうの、震えているあなたの瞳と、目が合った。
私は、口元にふっと冷ややかな笑みを浮かべ、画面をタップする。
「あ〜、もう、何にもできなくなっちゃった。せっかく、楽しかったのにな~。人殺し、もう、できないな~」
トボトボと歩み寄りながら、私はメスを弄んだ。
「次は、君の番だよ? 私が殺してあげる」
雨の日の放課後。
誰もいない旧校舎の理科室は、ひどく静かだった。
私がドアを開けたときには、もうすべてが終わっていた。
床に倒れ伏しているのは、サクラピンクの絵の具をぶちまけたような、冷たくなった詩織。
その傍らで、返り血を浴びてひまわりのように笑っているのが、一ノ瀬陽菜。
「あはは……。これで、私の勝ち。遥斗くんの画面の中からも、現実からも、詩織は消えた。もうメッセージは届かない。既読もつかない」
陽菜は狂ったように笑いながら、詩織のスマホを何度も踏みつけて粉々に壊していく。
「……陽菜。あんた、本当に醜いね」
私が冷たく声をかけると、陽菜はハッとしたように振り返った。
「麗? あ、違うの、これはね……」
言い訳をしようとする陽菜の細い首に、私は迷わず、実験台の上に置いてあったメスを突き立てた。
「がはっ、……あ、……れ、い……?」
ドサリ、と陽菜が崩れ落ちる。
ひまわり色の服が、どす黒い赤に染まっていく。
私は返り血を拭うこともしないまま、手元のメスをじっと見つめた。
鼓太郎も、遥斗も、みんなこの事態を知ったらどう思うかしら。
画面の中だけでしか愛し合えなかった不器用な二人は、もう二度と交わることはない。
私は、理科室の冷たい床に転がる陽菜のスマホを拾い上げた。
画面は割れているけれど、まだかろうじてバックライトが灯っている。
そのカメラレンズを、暗い理科室の奥、じっと息を潜めてこの惨劇を見ていた「あなた」の方向へと向ける。
レンズの向こうの、震えているあなたの瞳と、目が合った。
私は、口元にふっと冷ややかな笑みを浮かべ、画面をタップする。
「あ〜、もう、何にもできなくなっちゃった。せっかく、楽しかったのにな~。人殺し、もう、できないな~」
トボトボと歩み寄りながら、私はメスを弄んだ。
「次は、君の番だよ? 私が殺してあげる」



