嫌われ者、No.1目指して努力中!

──in 演劇部

「…で、話を続けろ」

「それもなんですが…
まず、私のお願いをひとつ…聞いていただけますか?」

「なんだ」

「皆さんの演劇を1度、見せていただけませんか?」

「「「!」」」

「…いや、それは…」

「…。」

「いつもしている練習程度で構いません。
口先だけでも。
…貴方たちの実力次第で、考えられる事があるので。」

「「「…」」」

「…わかった。
ただし、少しになる。
それでもいいか?」

「もちろんです。」

「…安斎、鳴海。準備をしろ」

「わかった、」

「…あぁ」

台本のようなものを持って、少し段差のある棚に乗る翔也さん

鳴海くんはキーボードを運び、

響ちゃんは照明を暗くした。

パチッ


電気が消える

「" もう諦めろ "」

「!」

キッと目を鋭くさせ、誰もいない空間に話しかける翔也さん

これ…確か、1人芝居…だよね。

「" ネタはもう上がってる。観念しろ "」

低音な声が、静まった部室に響き渡る

刑事役…?

〜♪

キーボードのBGMが鳴る

鳴海くんが音楽…

カチッ

証明のライトが切り替わる

響ちゃんが照明を動かす…

──そして

「" お前なら、家族の為にこの身を投げ捨てる覚悟のあるお前なら…
最後くらい、家族が喜ぶことをしてやれ。 "」

切なく、苦しそうに。

でも優しく諭すように説得する翔也さん

たった3つのセリフなのに、情景が目に浮かぶようで…

これが…



─彼らの、真の実力なんだ。

演劇に詳しくない私でも分かる

彼らは、きっと実力者だ。

こんな演技は、普通の人にはできない。



…なんて、綺麗でかっこいいんだろう。

─彼らの" 演技 "への情熱は、こんなにも熱い。

「…っ」

彼らの" 熱意 "を、" 演劇部 "を、無くさせたくない。

私は無意識のうちに、スカートの上に握った握り拳を更に強く握った。