「っ…」
昇降口に着くと、キョロキョロと辺りを見渡して人がいないのを確認した。
ごくり、と生唾を飲み込みポケットに入れた手紙を取り出した。
封を開けると、中には白い便箋が一枚。
『あなたにお話ししたいことがあります。
放課後、屋上で待っています』
キ、キ、キ、キ…キターッ!!
こ、これ…絶対、告白…!
二行の文章を読み終えると、鼻の下を伸ばしながら頭の中には女の子のことでいっぱいになった。
でも…久遠 凪って、誰だろう。
同学年なら、全クラスに友達がいる俺だ。
名前くらい聞いたことがあるはずなんだけど…。
でも特進なら…。
…いやいやいや!
あのクラスの女子が俺なんかに!?
あのクラスは超頭良い。
俺みたいなのに興味を示す女子がいるとは思えないし…。
でも、万が一…いや、億が一そんなことがあったら…賢い女の子ってどうなんだろ。
普段は冷静でも、恋愛には情熱的とか!?
いや、もしくは先輩…!?
あわぁ、お姉さんってのもいいなぁ…。
いや、待て待て。
後輩の可能性もある…年下の子から迫られる…うん、可愛い!
俺の妄想は、止まることを知らなかった。
「うわぁ…! 放課後まで待ちきれねぇ…!」
初めての春の予感に、俺の胸はざわついた。
この時の俺は、まだ知らない。
放課後、この予感が見事に裏切られることを。


