☆☆☆
遡ること、半日前。
眠い目擦りながら登校し、靴を履き替えるために靴箱を開けた。
眠気なんか一気に吹っ飛んだ。
「お…おぉ…! こ、これって…!」
上靴の上には、可愛らしいピンクの封筒。
信じられず、何度も裏返して名前を確認した。
表面には『西園寺 颯様』と書いてあり、裏面には『久遠 凪』と達筆な字で書いてある。
数秒、思考が停止したが、これは間違いない。
俺宛てのラブレターだ…!
ついに、俺にも春が来た…!
「おはよー颯っ! って、お前何やってんの?」
呆然としていると、同じクラスの小林に話しかけられた。
俺は慌てて手紙をポケットに突っ込んだ。
「なっ…なななっ…なんでもねーよ!」
「お、おう…? そうか…? てか、マジ眠いよなー。学校だりー」
「お、おう…そう、だな…」
話しながら教室に向かうけれど、俺はポケットに入れた手紙が気になってしかたなかった。
「あ、わり。先生に呼ばれてるんだった」
「はー? 颯、お前何やったんだよー?」
「うるせー、何もやってねぇよ」
適当に話を切り上げて、小林と反対方向へ向かった。
行き先は、職員室ではない。
人が少ない昇降口だ。


