「……随分と可愛いスパイが迷い込んできたな。偵察か?」
「て、偵察じゃありませんっ! ただ、ちょっと前を通っただけで……」
「ふーん。まあいいや。ちょうど退屈してたんだ、陽菜もやろうぜ」
蓮先輩がテーブルの上でシャララ……と鮮やかな手つきで何かをシャッフルし始めた。
それは、裏面に金の箔押しがされた、どう見ても超高級そうなトランプだ。
(カ、カジノのゲーム……!? ルーレットとかポーカーとか、私そんな難しいルール全然わかんないよっ!)
身構えてギュッと目を瞑った私に、朔先輩が低くて甘い声で宣言した。
「ゲームは――『ババ抜き』だ」
「……え?」
「「「ババ抜き」」」
イケメンエリート3人が、真剣な顔でババ抜き!?
あまりのギャップに、私は思わず「ぷっ……」と吹き出しそうになるのを必死で堪えた。
だけど、先輩たちの目は本気だ。
「いいか陽菜。俺が勝ったら、お前は俺だけの『専属メイド』として一日中接客しろ」
「ええっ!? そんなのズルーっ!」
「さあ、ゲームスタートだよ〜!」
藍里先輩の合図で、4人でのババ抜きが始まった。


