「――壁の陰で一人で何してんの、陽菜ちゃん」
「わああ!?」
真後ろから降ってきた甘い声に、私はビクッと肩を跳ねさせた。
恐る恐る振り返ると、そこには、信じられないくらい美しい純白の軍服風の衣装に身を包み、天使のような微笑みを浮かべた藍里先輩が立っていて――。
「あ、藍里先輩……っ!?」
「ふふっ、見ぃつけた。うちのクラス、偵察に来てくれたんでしょ? 嬉しいな〜。さ、中に入って入って!」
「えっ、ちょ、ちょっと待ってくださ――うわああっ!」
藍里先輩にぐいっと手を引かれ、私は抵抗する間もなく、特別選抜α組の『カジノラウンジ』の中へと引きずり込まれてしまった。
ふかふかの絨毯の上を歩き、案内されたのはラウンジのさらに奥、ベルベットのカーテンで仕切られたVIPルーム。
そこには、肩にはキラキラの金の装飾付き!制服を完璧に着こなした朔先輩と蓮先輩が、アンティーク調のふかふかなソファに深く腰掛けていた。
(文化祭のクオリティじゃないよ……! ここだけ絶対、異世界だ……っ!)
圧倒されて言葉を失っている私を見て、朔先輩が意地悪く口角を上げた。


