その言葉に、わいわいと賑やかだった教室の空気が、一瞬だけシュンと静まり返った。
うん……無理もない。
朔先輩たちがいる特別選抜α組の出し物は、毎年プロ顔負けの本格的カジノバーか、海外から一流シェフを呼んだ超高級レストランだと聞いている。
しかも一年二年三年のα組合同で、運営するって言っていたし。
ぶっちゃけ、予算もクオリティも、私たちとは桁違いだ。
「たしかに……α組は別格だもんなぁ……」
うつむき加減になるクラスメイトたちを見て、私は持っていたスプーンを置き、立ち上がった。
「勝てるよ! ……ううん、絶対に勝とう!」
「陽菜ちゃん……」
「たしかに、α組のお金持ちパワーや豪華さには敵わないかもしれない。でもね、私たちのクラスには、みんなで知恵を絞って、徹夜で衣装を縫って、看板を手作りした『温かさ』があるじゃん!」
私は自分の着ているメイド服のフリルをきゅっと握った。
「高級な料理は出せないけど、ケチャップで描く魔法なら負けない! プロの接客じゃないかもしれないけど、笑顔と一生懸命さなら、絶対に私たちの方が上だよ! 1年A組の団結力を見せつけてやろうよ!」
私の言葉に、みんながハッとしたように顔を上げた。
そして、衣装係の女の子が「……そうだよね!」と勢いよく立ち上がった。
「うん! うちらのメイド服の可愛さなら全校1位狙えるって!」
「オムライスの味だって、愛情たっぷりで最高だしな!」
「絶対、総合優勝して、α組の連中の度肝抜いてやろうぜー!!」
「「「おーーっ!!!」」」
夕日に照らされた教室に、クラス全員の元気な声が響き渡る。
オレンジ色に染まる黒板、ペンキだらけの手、不揃いだけど最高に可愛いメイド服。
(そうだ。私はもう一人じゃない。大好きなクラスメイトたちと、この文化祭を絶対に成功させるんだ!)


