朔先輩の膝の上に抱きかかえられたまま、私は真っ赤になった顔を必死で手で隠した。
至近距離にある美顔と、背中に伝わる温かい体温。逃げ場のない腕の中で心臓が破裂しそうだ。
混乱した頭を落ち着かせようと、ふとずっと気になっていた素朴な疑問が口から飛び出した。
「あ、あの、そういえば……! 朔先輩の『朔・F・神楽木』の『F』って……何ですか……? ずっと気になってて……」
私の質問に、朔先輩は一瞬ピクッと眉を動かした。
そして、前髪をふっとかき上げると、私を腕の中で抱き直し、わざとらしいほど低いイケメンボイスで私の耳元に囁いた。
「……ふん、知りたいか? 『Far check(お前を遠くから見守る)』のFだ」
「ふぁ、ファーチェック……!? え、私を見守るための……!?」
ロマンチックすぎる(?)意味に私が「きゃあ……っ!」とパニックになりかけた、その時。
「バカ言え、フィリップだろ」
横から蓮先輩が、心底呆れた顔で冷たく突っ込んだ。
「ぶはっ! 朔、なに『Far check』とかキザな嘘ついてんの!? ダサい! マジでダサいよそれー!!」
藍里先輩が抱き枕に顔を埋めて、お腹を抱えて大爆笑し始めた。


