「ズルい! 朔だけ陽菜ちゃんにあーんするなんて! ほら陽菜ちゃん、僕の卵焼きも食べて!」
「おい藍里、割り込むなよ。陽菜、俺のタツタ揚げも食え」
「もう、三人とも落ち着いてください……っ!」
周りの視線なんてどこ吹く風で、私を囲んでお弁当を奪い合う三人。
タツタ揚げを美味しそうに頬張る蓮先輩も、卵焼きを「美味しい!」ってふにゃりと笑う藍里先輩も、文句を言いながら完食してくれる朔先輩も、みんなすごく楽しそうだ。
「あ、食後にマドレーヌもありますよ! 昨日、お母さんと焼いたんです」
「マジ!? マドレーヌもあるの!? 陽菜ちゃん最高〜!」
「……後で、俺の分だけ多めに残しておけよ」
冷たい雨の日の理科室で泣いていた私が、今、こんなにも温かくて眩しい場所にいる。
胸の奥がじんと熱くなって、私は心からの笑顔を浮かべた。


