「あ、あの時は、ご迷惑をおかけしました!」
私が教わった通りのとびきりの笑顔で、声を響かせると、お嬢様は「ひ……!」と悲鳴を上げてその場にへたり込んだ。
そこへ、朔先輩がゆっくりと歩み出た。
学園の絶対君主の、氷のように冷たく、圧倒的な威厳に満ちた瞳がお嬢様たちを見下ろす。
「ほう……お前たちだな。先週、俺の『特別』を理科室に閉じ込めた愚か者は」
「さ、朔様……!? それは、その……!」
「言い訳は要らん。SSクラスの資格に値しない行動を反省しろ……それから、全校生徒に告ぐ」
朔先輩は一歩前に出ると、私の腰に手を回し、全校生徒が見守る中で私を自分の身体へと引き寄せた。
校庭にいる全員の息が止まる。
「森下陽菜は、SSSクラスロイヤル棟の専属お世話係であり――俺たちの特別な女の子だ。……今後、こいつに指一本でも触れる者がいれば、誰であれ俺がこの学園から叩き出す。……覚悟しておけ」
静まり返る校庭に、絶対君主の独占宣言が朗々と響き渡った。
息を呑む音が、波のようなどよめきをうねらせていく。
だけど、絶対君主たちの畳み掛けはこれだけじゃ終わらなかった!
横から、蓮先輩がフッと不敵で凶悪な笑みを浮かべて前に出る。
「つーわけだ。俺の可愛い陽菜を泣かせた奴は、俺が直々に叩きのめちゃうかもしれないから~……覚悟しとけよ?」
さらに、藍里先輩も天使みたいな笑顔のまま、氷のように冷たい瞳でお嬢様たちを見下ろした。
「ふふっ、僕の陽菜ちゃんに嫌がらせするなんて、いい度胸だね? 僕、怒ると怖いから……気をつけてね?」
「「「きゃあああぁぁぁぁぁーーーーっ!!!???」」」
校舎を揺らすほどの、全校生徒の大悲鳴と黄色い歓声!
ギャーッという女子生徒たちの悲鳴と大歓声。
へたり込んだまま腰を抜かしているお嬢様たち。
そして、私を抱きしめる朔先輩の胸の温もりと、満足げに微笑む蓮先輩と藍里先輩の顔。
(……私も、Sクラスの首位として、特待生として! この学園で堂々と頑張る!)
へたり込んだまま完全に腰を抜かしたSSクラスのお嬢様たちを置き去りにして、私は3人に囲まれたまま、堂々と校舎の中へと足を踏み入れたのだった。


