先輩は立ち上がると、私の手を引いてソファへと連れていき、自分の膝の上に私をすとんと座らせた。
後ろから長い腕が回ってきて、私の体をすっぽりと抱きしめる。
いわゆる、バックハグ、なんですけど!?
「せ、先輩……!? 近いです……っ」
「いいだろ、2人きりなんだから。お前が閉じ込められたって聞いた時、俺、本当に心臓が止まるかと思った……」
耳元で、少し掠れた、切ない声が響く。
先輩の固くて広い胸から、ドクドクと、信じられないほど速い鼓動が背中を通じて伝わってきた。
「お前は俺の特別な――女の子だろ? スコアなんて、俺がいくらでも改ざんしてやる。だから……もう二度と、俺に隠し事はするな。1人で泣くな」
大きな手が私の頭を包み込み、髪を愛おしそうに何度も撫でる。
ロイヤル棟の静かな夜。
「はい……。ごめんなさい、先輩。……ありがとうございます」
腕の中のぬくもりがあまりにも心地よくて、私は先輩の胸にコテ、と頭を預けた。
明日から、学園でどんな嵐が吹き荒れようとも。
この腕の中にいる限り、私はもう、何も怖くない。
そう強く確信しながら、私は優しい魔法にかけられたまま、深い眠りに落ちてしまった。
陽菜の馬鹿!
うっかりすぎるでしょ!
翌朝、お約束?みたいに、私の叫び声が朔先輩のベッドの上で響き渡るんだけど。
それに関しては、突っ込まないで!
恥ずかしさで死んじゃうから!


