驚いて振り返ると、理科室の頑丈な扉が完全に閉め切られている。
「えっ……!? ちょっと、開けてください!」
慌てて駆け寄り、ノブを掴んで力を込める。
だけど、ガタガタと音を立てるだけで、扉はびくともしない。
外側から、太い金属のチェーンが巻き付けられるガチャガチャという絶望的な音が響いてきた。
「せいぜいそこで、自分の身の程を知ることね。庶民のくせに、朔様たちの近くにいるからバチが当たったのよ。誰も来ないから、朝までじっくり頭を冷やしなさい」
「待ってください! 開けて! お願いですから……!」
扉をドンドンと両手で叩くけれど、外からはクスクスという意地悪な笑い声が遠ざかっていくだけ。
やがて、完全に足音が消え去り、理科室は本当の静寂に包まれた。
(どうしよう……。どうしよう……っ!)
ポケットを探るけれど、私はスマホを持っていない。
連絡を執る手段なんて、何一つなかった。
追い打ちをかけるように、ポツポツと窓を叩く雨の音が激しくなり、外の光が完全に遮断されていく。
理科室の中は、一瞬にして一寸先も見えないほどの真っ暗闇に包まれた。
冷たいコンクリートの床から、ジワジワと冷気が這い上がってきて、私の体を容赦なく凍えさせていく。
(寒い……。暗くて、何も見えないよ……)
目を開けているのか閉じているのかすら分からない暗闇の中で、不気味な剥製の影が、まるで私を睨みつけているような錯覚に囚われる。
恐怖で呼吸が浅くなり、ヒッ、ヒッ、と喉が引き攣った。


