「はぁ……はぁ……」
熱のせいで、先輩の呼吸は荒い。
学校での完璧な生徒会長の姿からは想像もつかないほど、今の先輩は小さく、弱々しく見えた。
「先輩、今お粥を作ってきますからね。少し待って――」
立ち上がろうとした瞬間。
熱く乾いた大きな手が、私の手首をガシッと掴んだ。
驚くほどの力で引っ張られ、私はベッドの端に座り込む形になる。
「……行くな」
「先輩? でも、何か食べないと、お薬が飲めません」
「今いらない。どこにも行くなよ、陽菜……」
潤んだ瞳で私を見つめ、苦しそうに眉根を寄せて首を振る。
「……俺のそばに」
先輩は掴んだ私の手を自分の頬に寄せ、すりすりと甘えるように擦り寄せた。
熱い吐息が手の甲に当たって、私の心臓が爆発しそうに跳ね上がる。
「せ、先輩、えっと……」
「……陽菜の手、冷たくて気持ちいい」
そのまま、先輩は私の手を胸元に抱きしめるようにして、ぎゅっと目を閉じた。
その姿を見て、私は想像してしまった。


