「怒ってくれる人がいるって、実はすごく温かいんだね」
先輩は椅子をくるりと回すと、私のジャージの裾をクイクイと引っ張った。
そして、上目遣いで、子猫のような甘い笑みを浮かべる。
「ねえ、陽菜。これからは悪いことしそうになったら、僕のことたくさん叱って。その代わり、このプリン、また作ってくれる?」
「お安い御用です。ただし、イタズラはほどほどにしてくださいね?」
「うん、約束する」
藍里先輩はそう言うと、私の手を取って、自分の頬にすり寄せた。
「陽菜、大好き。……あーあ、朔より先に僕が陽菜を見つけておけば良かったな」
冗談めかしてはいるけど、少しだけ真剣な瞳で見つめられ、私はまたしても顔が真っ赤になるのを止められなかったのだった――。


