「……ただいま戻りました」
足取り重くロイヤル棟のドアを開けると、暖かな空気と、いつもの賑やかな声が出迎えてくれた。
「おっ、おかえり陽菜ちゃん! 今日はずいぶん遅かったね」
「……おい。お前、なんか顔色悪くねぇか?」
ソファで本を読んでいた朔先輩が、私の顔を見るなりスッと眉をひそめて近づいてきた。
いつもならドキドキしてしまうその気遣いも、今はひどく胸を締め付ける。
「えっ? そ、そんなことないですよ! ちょっと外が寒かっただけで……」
「そうか? ……お前、手が氷みたいに冷たいぞ」
私の手をそっと包み込んで温めようとしてくれる朔先輩から、私はビクッと過剰に反応して距離を取ってしまった。
先輩の手が、空を切り、気まずい空気が流れる。
「あ、そうだ! それよりさあ」
空気を変えるように、蓮先輩がパンッと手を叩いて明るい声を出した。
「二学期の終業式の後さ、恒例の『クリスマス・プロム』があるじゃん? んで、ペアでの参加が必須なんだけど、俺たち誰とペア組むかでさっきまで揉めてね」
「揉める必要ねぇだろ」


