オタクな秘書の攻略方法〜来る者拒まず去る者追わずだった同期に一途に溺愛される

真白の完璧な仕事ぶりにより、初日の業務は驚くほどスムーズに片付いた。
どんなにタイトな要求にも、真白は状況整理の早さと正確さで応え、蓮を大いに満足させた。
「さすが乾さんですね。繊維部一同、本当に助かっています」
夕方、サポートの初日を終えた真白に、営業一課のメンバーたちが次々と感謝の言葉を口にする。
「お役に立てて光栄です」
真白は美しく微笑み、片付けを始めた。
その時、蓮の同期である佐伯がひょっこりと顔を出した。
「あ、乾さん。ちょうど良かった。今週の金曜日、このプロジェクトのキックオフを兼ねた、営業一課と秘書課の合同懇親会があるんだけど、乾さんも来てくれるよね?」
「え……懇親会ですか?」
真白は一瞬、躊躇した。仕事の付き合いとはいえ、お酒の席はプライベートの領域に近く、最も苦手とする分野だ。できれば金曜の夜は、すぐに帰ってゲームをしたい。
「乾さんも来てくれないと、僕が寂しいな」
背後から、蓮がすっと会話に入ってきた。彼の目は「絶対に来てほしい」と無言で訴えている。
「……営業一課の皆さまのお祝いの席でしたら、喜んで参加させていただきます」
負けず嫌いな真白は、蓮から逃げたと思われるのが癪で、ついそう答えてしまった。
「良かった。楽しみにしてます、乾さん」
蓮の口元に、どこか意味深な笑みが浮かぶ。
(金曜日の飲み会……。何かが起こる予感がする……)
真白は胸の奥で、嵐の前の静けさのような、ざわざわとした胸騒ぎを感じていた。