月曜日、午前10時。
秘書課のデスクで、真白はいつも通り完璧なポーカーフェイスで仕事をこなしていた。
だが、内線電話が鳴るたびに、ビクッと肩が揺れるのを抑えられない。
「乾さん、ちょっといいかしら」
秘書課のチーフに呼ばれ、真白は背筋を伸ばして立ち上がった。
「はい、何でしょうか」
「今、営業一課の神尾さんから、臨時のアシスタント要請が入ったの。今週から始まる、繊維部の新規海外プロジェクトのキックオフ準備なんだけど……」
真白の心臓がどきりと跳ねる。
「え……営業一課のアシスタントですか? ですが、私は役員秘書としての業務が――」
「常務のスケジュールは今週、出張が多くて比較的余裕があるでしょう? 神尾さんのプロジェクトは、常務が最も注力されている『サステナブル繊維』のアジア展開なの。常務からも『秘書課から一番優秀な人員をサポートに回せ』と直々に指示が出ているのよ。だから、乾さんにお願いしたくて」
(常務からの直々の指示……!)
真白は絶句した。これが、蓮の言っていた「絶対に断れない仕事」の正体だったのだ。
常務の意思決定のスピード、そして秘書課の稼働状況。すべてを計算し尽くした上での、完璧なオファー。
「……かしこまりました。ただちに営業一課のサポートに入ります」
真白は内心の激しい動揺を抑え込み、プロとしての仮面を張り付けたまま返事をした。
負けず嫌いな彼女の魂に、静かに火がつく。
(仕事を利用して近づいてくるなんて、いい度胸じゃない。徹底的に完璧な仕事をして、あなたの鼻を明かしてあげるわ!)
秘書課のデスクで、真白はいつも通り完璧なポーカーフェイスで仕事をこなしていた。
だが、内線電話が鳴るたびに、ビクッと肩が揺れるのを抑えられない。
「乾さん、ちょっといいかしら」
秘書課のチーフに呼ばれ、真白は背筋を伸ばして立ち上がった。
「はい、何でしょうか」
「今、営業一課の神尾さんから、臨時のアシスタント要請が入ったの。今週から始まる、繊維部の新規海外プロジェクトのキックオフ準備なんだけど……」
真白の心臓がどきりと跳ねる。
「え……営業一課のアシスタントですか? ですが、私は役員秘書としての業務が――」
「常務のスケジュールは今週、出張が多くて比較的余裕があるでしょう? 神尾さんのプロジェクトは、常務が最も注力されている『サステナブル繊維』のアジア展開なの。常務からも『秘書課から一番優秀な人員をサポートに回せ』と直々に指示が出ているのよ。だから、乾さんにお願いしたくて」
(常務からの直々の指示……!)
真白は絶句した。これが、蓮の言っていた「絶対に断れない仕事」の正体だったのだ。
常務の意思決定のスピード、そして秘書課の稼働状況。すべてを計算し尽くした上での、完璧なオファー。
「……かしこまりました。ただちに営業一課のサポートに入ります」
真白は内心の激しい動揺を抑え込み、プロとしての仮面を張り付けたまま返事をした。
負けず嫌いな彼女の魂に、静かに火がつく。
(仕事を利用して近づいてくるなんて、いい度胸じゃない。徹底的に完璧な仕事をして、あなたの鼻を明かしてあげるわ!)



