「真白? 大丈夫? 顔がめちゃくちゃ赤いけど。熱でもあるの?」
午後18時、定時直後の女子更衣室。
同期の聖良に覗き込まれ、真白はハッと我に返った。
「え!? な、何でもない! 全然平気!」
「嘘。あんたがそんな風にオロオロするの、ゲームのデータが吹き飛んだ時くらいだよ。何があったの?」
聖良の鋭い視線が、真白が大事そうに抱えているロイヤルブルーの紙袋に注がれる。
「それ……まさか、『プリファン』の限定コラボチョコ!? あんた、予約負けたって愚痴ってたじゃん! なんで持ってんの!?」
「あ、これ、は……その」
真白はしどろもどろになりながら、観念して小声で事情を話した。
ただし、金曜の夜に必死にゲームをしている顔を見られたことは恥ずかしすぎて伏せ、「資料を拾ったお礼に、神尾くんがくれた」とだけ説明した。
それを聞いた聖良は、目を丸くした後、ニヤニヤと意地の悪い笑みを浮かべた。
「へぇ……あの神尾くんがねぇ。わざわざそんな、手に入りにくいオタクグッズを調べて、ピンポイントでプレゼントしてくれたんだ」
「お、お礼だよ! 営業のエースとして、仕事の貸し借りを作りたくなかっただけでしょ!」
「ただの同僚のお礼に、そこまで私情を挟んだもの選ぶ? 普通ならスタビのカードとか、普通のクッキーよ。これ、完全に『あんたの喜ぶ顔が見たい』っていうアピールじゃん」
「まさか! 彼は社内一のモテ男だよ!? 私みたいな、残念なオタク女に興味持つわけない!」
負けず嫌いな真白は必死に抗弁するが、胸の奥のバクバクとした高鳴りは一向に収まらなかった。
脳裏に焼き付いて離れないのは、給湯室で耳元に触れた、あの低くて甘い声。
『……喜んでくれると思って』
「あー、もう、落ち着け私の心臓! これは単なるビジネストーク! 騙されちゃダメ……!」
真白は更衣室の鏡に向かって、何度も自分の頬を叩いた。
しかし、その夜、自宅でスウェットに着替えてチョコ缶を開けた真白は、一粒口に入れるたびに、ゲームの画面ではなく、神尾蓮の美しい無表情を思い出してしまい、全くプレイに集中できないのだった。
午後18時、定時直後の女子更衣室。
同期の聖良に覗き込まれ、真白はハッと我に返った。
「え!? な、何でもない! 全然平気!」
「嘘。あんたがそんな風にオロオロするの、ゲームのデータが吹き飛んだ時くらいだよ。何があったの?」
聖良の鋭い視線が、真白が大事そうに抱えているロイヤルブルーの紙袋に注がれる。
「それ……まさか、『プリファン』の限定コラボチョコ!? あんた、予約負けたって愚痴ってたじゃん! なんで持ってんの!?」
「あ、これ、は……その」
真白はしどろもどろになりながら、観念して小声で事情を話した。
ただし、金曜の夜に必死にゲームをしている顔を見られたことは恥ずかしすぎて伏せ、「資料を拾ったお礼に、神尾くんがくれた」とだけ説明した。
それを聞いた聖良は、目を丸くした後、ニヤニヤと意地の悪い笑みを浮かべた。
「へぇ……あの神尾くんがねぇ。わざわざそんな、手に入りにくいオタクグッズを調べて、ピンポイントでプレゼントしてくれたんだ」
「お、お礼だよ! 営業のエースとして、仕事の貸し借りを作りたくなかっただけでしょ!」
「ただの同僚のお礼に、そこまで私情を挟んだもの選ぶ? 普通ならスタビのカードとか、普通のクッキーよ。これ、完全に『あんたの喜ぶ顔が見たい』っていうアピールじゃん」
「まさか! 彼は社内一のモテ男だよ!? 私みたいな、残念なオタク女に興味持つわけない!」
負けず嫌いな真白は必死に抗弁するが、胸の奥のバクバクとした高鳴りは一向に収まらなかった。
脳裏に焼き付いて離れないのは、給湯室で耳元に触れた、あの低くて甘い声。
『……喜んでくれると思って』
「あー、もう、落ち着け私の心臓! これは単なるビジネストーク! 騙されちゃダメ……!」
真白は更衣室の鏡に向かって、何度も自分の頬を叩いた。
しかし、その夜、自宅でスウェットに着替えてチョコ缶を開けた真白は、一粒口に入れるたびに、ゲームの画面ではなく、神尾蓮の美しい無表情を思い出してしまい、全くプレイに集中できないのだった。



