向日葵は彩る君に恋をした

カレーの片付けを終えると、森の散策の時間になった。自由行動なので、みんなそれぞれ好きな人と歩いている。

「伊織くん」

「葵」

「友達できてよかったね」

そう言うと──

「うん。ありがとう」

伊織くんは、森の光の中で嬉しそうに笑った。

「おー、伊織! 俺とモルフォチョウ探そうぜ!」

山田が馴れ馴れしく肩を組む。

「いや、それ海外にしかいないやつ」

私が突っ込むと、三人で楽しそうに笑いながら歩き出した。そのとき──ふわりと甘い香りが漂う。

「……金木犀だ」

私がそう呟くと、足元に小さなすみれが咲いているのが見えた。踏まないようにそっと避けた瞬間──ぐにゃり、と泥のむかるみに足が取られた。
バランスが崩れる。体が前に傾く。視界が揺れる。森の空気が一瞬だけ、ゆっくりになった。まずい…。