向日葵は彩る君に恋をした

「でも王子は、最近料理はじめたの? なんで?
相当金持ちで家政婦さんとかいるんだろ?」

山田が首をかしげる。

「もしかして貴公子の家って、メイドとか執事いる!?
すごい憧れなんだけど!」

千夏が興味津々で身を乗り出す。

「九条様の家は華道の名門ですよ。和を重んじています。
忍者とかいるんじゃないんですか?」

麻美がぐいっとメガネを上げる。……なぜそうなる。まあ、でも黒井さん神出鬼没で忍者みたいだけど。その言葉に伊織くんが苦笑いしながら答える。

「いや、普通だよ。
でも家政婦さんはいて、面倒みてもらってたら追い出されて一人暮らし中なんだ」

「え!? まじで!?
色々あるんだなー金持ちも。
ってか王子ってさ、結構普通なんだな。
もっととっつきにくい人かと思ってたわ」

山田が伸びをしながら言うと──

「普通じゃないからね!!」

麻美が突然グワッと前に出た。

「すごいんですよ九条様は!
彼の触れた花は命が宿ると言われているんですよ!
神の手なんです!!」

山田が「お、おう……」と圧倒される。千夏も「信者のスイッチ入った」と小声でつぶやく。そんな様子を見ながら、伊織くんがぽつりと口を開いた。

「みんな仲良さそうでいいね。
……俺、友達いないから」

その言葉に、空気がふっと静かになる。え、そうなの?夏祭りのときも誘われてたのに。

「うそだー、人気者だろ?」

「そうよ。信者もいるしね」

山田と千夏が言う。

「みんな、九条真斗の息子って見てる感じだから。
友達とは違う気がして」

頬をかきながら言う伊織くん。その横顔は、少し寂しそうだ。