「紫陽花」
「は、はい?」
唐突にそう言われて背筋が跳ねた。
「あれ、下処理したの誰?」
「わ、私です」
恐る恐る手を上げる。え、何か粗相した?いや、丁寧にやったはずだけど……。
「へぇー、あんたがね」
じろりと見られる。
「は、はい……」
こわい。やられる?やられるのか私?
「焼き切りもしてあったね」
九条さんは顎に手を置き、じっとこちらを見る。
「どうして」
試されている。そんな空気がひしひしと伝わる。私は素直に答えた。
「あ、はい。
紫陽花は、他の花と違って茎の導管がすぐ詰まる性質があるので……焼いて導管を開いて、呼吸を通す必要があるんです。
……って、そんなこと、九条さんなら知ってますよね。あはは……」
緊張で笑いながら視線を逸らす。変な汗でてきた。



