向日葵は彩る君に恋をした

完成された作品がずらりと並び、審査員たちがゆっくりと歩きながら評価していく。長い、長い時間が過ぎて─ついに発表のときがきた。

「今回の最優秀作品は……高山 圭さん」

選ばれなかった。あんなに綺麗だったのに。それでも、プロの世界は厳しい。講評が読まれる中…胸が少し痛む。

「そして今回は、審査員特別賞を受賞された作品があります。
それは……九条 伊織さん」

その言葉に、思わず目を丸くした。うそ……!やった……!伊織くんも驚いたように、審査員の前へ歩いていく。

「まず、『君に捧げる向日葵』。
大変素晴らしい作品でした。
技術もある。向日葵の魅せ方も素晴らしかった。
そして、なにより──
我々の心に残ったのは、向日葵に触れる手つき、目線。
まるで大切な人に触れるような、優しい手つきでした。
それが我々一同、強く印象に残りました」

審査員の一人が講評していく。
順番に言葉が続き、最後に伊織くんの父が立ち上がった。

「皆様もご存じの通り、彼は私の息子です。
今回、審査員を任され息子が出場することで評価の平等性を心配された方もいるでしょう。
私は自分にも厳しいが、それ以上に息子には厳しい。
だから、これだけは誤解しないでいただきたい。
今回選んだのは、プロとして公平に審査した結果であり、
それは紛れもない事実です。
そして──
私は彼の作品に心を打たれた一人だ。
向日葵が力強く、優美に咲いているのがわかる。
誰かを想い、慈しむ気持ちが、この作品に宿っていた。
本当に、良い作品だ」

その言葉に、会場中から拍手が巻き起こる。

伊織くんは驚いたように目を見開き、それからゆっくりと、真っ直ぐ父を見つめていた。その瞳は、ずっと求めていた“認められた瞬間”をようやく掴んだ人のものだった。