向日葵は彩る君に恋をした

夏祭りに行った日から、特に変わらない。大会までもうあと数日。前もってもらっていた花のリストから、『こっちに変えたい』と伊織くんに言われた。まさか急に変更するなんて思わなかったけど、その花を確認すると――綺麗。大丈夫。

そして、あっという間に大会当日。
早朝から準備しておいた花。その仕上がりを見て、

「最高だな。
あとは俺に任せろ」

そう笑った伊織くんが、いつもより逞しく見えた。

「うん、頑張れ」

そう言って黒井さんの車で会場に移動する。ざわめきあう会場。こっちまで緊張してくる。大丈夫。花は完璧。あとは、伊織くんを信じるだけ。ふと、伊織くんがやってきた。

「葵」

「なに?」

「イェーイ」

ハイタッチを求めてきたので、

「いえい?」

手を差し出す。すると、ぎゅっと握られた。微かに冷たくて、震えている。

「緊張……してるの?」

「……うん。こんなこと、はじめて」

困ったように笑うその顔が、いつもの完璧な伊織くんじゃなくて、なんだか少し可愛い。

「そっか。あの完璧超人でも緊張するんだね」

ははっと笑うと、

「おまえなぁ」

と、眉を寄せる。

「大丈夫だよ。大丈夫。
伊織くんがいける花は素敵だよ。
私、もし花に生まれ変わるなら、
伊織くんにいけてもらいたい」

そう言うと、驚いたように目を丸くして、それからゆっくり優しく微笑んだ。

「……それは光栄だ。
なら……最高に輝かせないとな」

「うん」

「よし、さんきゅ。いってくる」

離れた手は、もう冷たくなかった。
がんばれ。
がんばれ、伊織くん。