向日葵は彩る君に恋をした

人通りが少なくなったところで、ふっと手が離れた。伊織くんが立ち止まり、こちらを向く。

「なんで、置いていくわけ?」

低い声。怒ってるというより、拗ねてる。

「いや、友達と回りたいかなって」

そう言うと――

「はああ?」

露骨に不機嫌な顔。

「……あほだろ」

「な、なんでよ!気を利かせたのに!」

「だからそれがあほって言ってんの」

「な、なんでぇ!?」

「俺は……葵だから夏祭りきたんだよ」

「え?」

「他のやつに誘われたって行かない。
葵とだから今日俺はここにきた」

真っ直ぐすぎる言葉。そんなの……ずるいじゃん。そんなの言われたら、好きって言いたくなるじゃん。ぎゅっと唇をかむ。

「なのに、勝手に置いていくなよ。
普通にさみしいだろ」

そう言って、顔をそむける。その横顔が、なんか……可愛い。

「……ごめん」

「……はあ。花火見よ」

「うん、みる」

「ほら」

差し出された手。

「え、なに?」

「葵が俺を置いていかないようにだよ」

ぐっと手を引かれる。力強いのに、握る手は優しくて、あったかくて――胸が苦しくなる。