向日葵は彩る君に恋をした

夏祭り当日。

「おい、行くぞ」

突然そう言われて、思わず振り返る。

「え!?まだ化粧しかしてない」

慌てて言うと、伊織くんは眉ひとつ動かさず、

「実家いくぞ」

「な、なぜ?」

「いいから」

理由を言う気はまったくないらしい。そのまま玄関へ連れていかれ、外に出ると――黒井さんが車を横付けして待っていた。

「伊織様お久しぶりですね。
元気そうでなにより」

「そういうのいいから、はやくだして」

「はいはい」

黒井さんは慣れた手つきでドアを開ける。車は静かに走り出し、ほどなくして伊織くんの家に着く。相変わらず、門構えからして立派すぎる。

「ほらついてきて」

短く言われて、慌てて後を追う。

「お、お邪魔しまーす」

玄関をくぐった瞬間、空気が変わる。ひんやりしていて、静かで、広い。