「伊織くんはなんか余裕あるね」
「慌ててもしょうがない」
そういって肩をすくめる。
「さすが……大物」
「それはどうも」
伊織くんは軽く受け流す。そして二人で展覧会の中を進んでいく。もらったパンフレットを開くと、そこには大きく名前が記されていた。
九条 真斗 展覧会─伊織くんのお父様だ。
そして、伊織くんに『大会で結果を出せなければ華道家をやめろ』と言った人。
どんな人なんだろう。どんな花をいける人なんだろう。
胸が少しざわつきながら、飾られた作品に目を向ける。淡い紫のフリルのような花弁が、柔らかく光を受けて揺れていた。トルコキキョウだ。綺麗だ。力強く、優美で、静かな気品がある。
そっと隣を見る。伊織くんは、真剣な表情で作品を見つめていた。その横顔は、普段の軽さとはまるで違う。何を思っているのだろう。ずっと近くで見てきた人の作品。偉大で、遠くて、でもきっと憧れてきた背中。その視線の奥にあるものを想像したら、胸がきゅっと締めつけられた。
「慌ててもしょうがない」
そういって肩をすくめる。
「さすが……大物」
「それはどうも」
伊織くんは軽く受け流す。そして二人で展覧会の中を進んでいく。もらったパンフレットを開くと、そこには大きく名前が記されていた。
九条 真斗 展覧会─伊織くんのお父様だ。
そして、伊織くんに『大会で結果を出せなければ華道家をやめろ』と言った人。
どんな人なんだろう。どんな花をいける人なんだろう。
胸が少しざわつきながら、飾られた作品に目を向ける。淡い紫のフリルのような花弁が、柔らかく光を受けて揺れていた。トルコキキョウだ。綺麗だ。力強く、優美で、静かな気品がある。
そっと隣を見る。伊織くんは、真剣な表情で作品を見つめていた。その横顔は、普段の軽さとはまるで違う。何を思っているのだろう。ずっと近くで見てきた人の作品。偉大で、遠くて、でもきっと憧れてきた背中。その視線の奥にあるものを想像したら、胸がきゅっと締めつけられた。



