向日葵は彩る君に恋をした

「九条様のご子息じゃないですか?」

「お家元披露の紫陽花、とても素晴らしかったです」

伊織くんのまわりに、あっという間に人が集まる。さすが有名人。空気が一気に変わる。

「こんにちは」

伊織くんは、表向きのキラキラ王子スマイルを浮かべる。

「今日はお父様の作品を見に来たのですか?」

「ええ。勉強させてもらおうと思いまして」

「それは素晴らしいですね。
伊織くんも、もう少しで日本華道芸術花誉展に出るんだろ?」

「ええ」

「すごいですね。最年少ではないですか?
招待された人しか出られない大会なのに。立派ですね」

「ありがとうございます」

……待って…そんなすごい大会なの?それに、私が処理した花を使うの!?せ、責任重大すぎない!?一通り話が落ち着いたところで、ガチガチに固まっている私に気づいたのか──

「どうした?」

「そんな重要な大会の花を私がやるの!?」

「何を今更」

伊織くんは肩をすくめる。まるで「当然だろ」とでも言うように。胸がぎゅっとなる。責任の重さと、信頼されている嬉しさと、緊張と全部が一気に押し寄せてくる。