向日葵は彩る君に恋をした

「それに葵が用意してくれる花は、いつだって綺麗だから。
もっと綺麗に魅せようって張り切りたくなる。
牡丹ってさ、水揚げ難しいのによくできてる」

そう笑う横顔に、胸がきゅんとする。あー、ずるい。そんな言葉、嬉しいに決まってる。
私も花になれたら、そんなふうに優しく触れてもらえるのだろうか──思わず、心の奥の言葉がこぼれた。

「すてきだね。
伊織くんにいけてもらえる花が羨ましいよ」

そう言うと、伊織くんは驚いたように目を丸くする。

「だって伊織くん、花に触れる手すごい優しいからさ。
大事にしてくれるかなって」

そう笑うと──

「……まあ、な」

照れたように頭をかく。その仕草が、なんだかこっちまで照れくさくなる。伊織くんとの距離が、ひとつ近づいた気がして、胸の奥がじんわりあたたかくなった。和室の中央にいけられた牡丹の紅が、空気を静かに染めていく。その鮮やかさが、二人を照らしてくれているようだった。