向日葵は彩る君に恋をした

花をいける時には、ちゃんと和装に着替えるのもすてきだ。洋室しかないと思っていたこの家に、生花専用の和室まであることに驚いた。
花ばさみを持つ手。花に触れる指先。どれもやっぱり綺麗で、彼がいける花は生き生きして見える。

「……花、好きなの?」

そう聞くと──

「生花は嫌いだな」

「え?」

思わぬ言葉に目をぱちくりさせる。

「嫌いなのに、華道家……なの?」

「うーん、ちょっと語弊があるか。
花は嫌いじゃない」

よくわからず首をかしげる私に、伊織くんは静かに花を見つめたまま続ける。

「花瓶に入れられた花よりさ、
自然に咲いてる方が綺麗だろ?」

確かに、太陽の光を浴びて咲く花は、そのままで十分に美しい。

「うん」

「摘み取られた花って、傷むから。
だから生花って、花を美しく見せるためのものなのに、
花を傷めてるような気もして……あんまり好きじゃない」

「そうなんだ……」

「だから、俺がいける花は──
たった一瞬だったとしても、
自然で咲いてる時よりずっと綺麗に輝かせたいって思った」

真っ直ぐに花を見つめる横顔。そこには、彼なりの信念が確かにあった。