向日葵は彩る君に恋をした

「つ、疲れた……」

出来上がったオムライスの前で、私は項垂れたくなった。

「案外上手にできたな。いただきます」

伊織くんはすっとスプーンを手に取り、ひと口。

「ん。おいしい」

「良かったです」

食べる所作は綺麗だ。そのギャップに見惚れていたら──

「なーに?俺に見惚れた?」

穏やかに微笑んでくる。

「うっ……むむむむ……
いぇえーーす!」

オムライスを飲み込んでから返事をする。危うく詰まりかけた。

「はは、なんだよそれ」

顔をくしゃりとした笑顔。今の“素の顔”もまた良い。オムライスを食べ終え、私は食器を洗いながら言った。

「では、片付けましょう」

「……あのさ、それ必要?」

「必要です。こんなに散らかってたら落ち着きません」

「そう?」

「そうです。
実家はとっても綺麗でしたよね?
ここはどうしてこんなごちゃーってしてるんです?」

伊織くんは少しだけ視線を落とし、ぽつりと言った。

「反動だな。
あそこにはなーにもない。
俺ができるのは花をいけるだけ。
なのに、それすら奪われる……」

その声は、いつもの強気な調子じゃなかった。ぽつんと落ちた言葉が、なんだか寂しそう。