「……じゃあ、オムライスにしましょう」
卵が一杯残ってる。
「つくれんの?」
「みんな作れるんじゃないですか?」
「まじ?」
「ほら、手洗って卵割って」
……ガチャガチャ。
「いやいやいや、なにしてるんですか」
「いや、なにって……卵割ろうと思って」
「トンカチで卵割る奴初めて見ましたよ!!
どうなってるんですか!? ええ!?」
私はトンカチを取り上げて、深呼吸した。
「いいですか、よく見てください」
コンコン、とボウルの縁に当てて──
パカッ。
「こうです」
「へぇー、すごいな」
卵割っただけで褒められた。
「俺もやってみよ」
パカッ。
「上手ですね、初めてなのに」
「大体教わればできる」
「そんな器用ならオムライスもすぐ作れますよ」
そう言ったものの──包丁を渡したら、とんでもない持ち方をするし、ヒヤヒヤして何度か“手がなくなる未来”が見えた。



