向日葵は彩る君に恋をした

「わかった。この住所に持っていけばいいの?」

「おう。ここから近いから、すぐ行けるだろ」

いつもの調子でぶっきらぼうに言う。この花屋は、じいちゃんが長いこと続けてきた店だ。私の両親は普通の会社員で、後継ぎはいない。だからじぃちゃんはよく言う。
――俺が死んだら、この店もしめるしかないな。
その言葉を聞くたび、胸が少し痛む。花は好きだ。綺麗だし、触れていると落ち着く。そして何より、じいちゃんが花に触れる姿を見るのが好きだった。
口は悪いし、すぐ怒鳴るけど、花に触れる手は驚くほど優しくて、その眼差しは、いつも花を慈しむように柔らかかった。
本当は、この店をなくしたくない。だって店の名前は、祖母の名前から取られているのだから。
『すずらん』祖母の旧姓は、涼宮 蘭。
だから “すずらん”。
じいちゃんらしい、ちょっと粋な名付けだと思う。
私はリストを握りしめ、配達用の花を確認した。