向日葵は彩る君に恋をした

「なんかさ、弓弦も椿も葵に花の依頼しすぎじゃない?」

伊織くんが不機嫌そうにこちらを見てくる。薬師丸さんのところで花の処理をしていると、薬師丸さんは楽しそうに笑った。

「葵さんの花は丁寧に処理されているからね。
それだけじゃない。彼女の人柄に惹かれるんだろうね」

ちょっと照れる。その様子を見て、伊織くんはさらに顔を歪めた。

「なんかいやだ」

「ははは、伊織くんもまだまだだな〜。
これも葵さんの経験だよ。それに伊織くんのためでもある」

薬師丸さんが肩をすくめる。

「あの、これはこんな感じで大丈夫ですか?」

私は処理した花を見せる。

「うん、いいね。
よく水を吸えてる」

薬師丸さんが私の手元を確認する。

「……」

伊織くんは黙ったまま、じっと私の指先を見つめていた。その視線がなんだか熱くて、落ち着かない。

「伊織くん……できた!どう?」

そう言って、仕上げた椿を見せる。

「……綺麗」

その声は、花ではなく私を見て言っているようで、思わず頬が熱くなる。薬師丸さんがそれを見て笑った。

「若いっていいなー」

作業場の空気が、少しだけ甘く揺れた。