向日葵は彩る君に恋をした

一週間後、椿さんから再び花の依頼が入った。向かってみると、どこかすっきりしたような顔をしていた。

「手は大丈夫?」

「はい、大丈夫です」

「そう、なら良かった」

花に視線を落とし、それからゆっくりと私を見る。

「伊織に伝えたの。ずっと好きだったって。
でも振られちゃった」

淡々とした声なのに、どこか晴れたような響きがあった。

「私、知らなかったの。
伊織はずっと優しい王子様みたいで、何でもできる完璧な人だと思ってた。
それなのに、家を追い出されていたことも知らなかったし……
私を頼ってくれなかったことも、寂しかった」

椿さんはふっと息を吐く。

「でも、それが答えね」

そう言って、まっすぐ私を見た。

「貴女の処理する花は素晴らしい。
これからも彼を支えてあげて。
あと、私もたまに使わせてちょうだい。
貴女の花は……なんか、勇気もらえそうなの」

綺麗に笑ったその顔は、奪おうとする人のものじゃなかった。

「ありがとうございます。
私、華道家の皆さんが気持ちよくいけられるような花を提供できるように頑張ります」

そう言って頭を下げると、椿さんは満足そうに頷いた。

「ええ、期待してる」

その微笑みは、前に進む人の顔だった。紅の椿が凛と咲いていた。