向日葵は彩る君に恋をした

「ごめんなさい、私の不注意で」

椿さんが深く頭を下げる。

「いえ、大丈夫です。椿さんにお怪我がなくて良かったです」

そう言うと、椿さんの表情がほっと緩んだ。その瞬間──

「……今度葵に怪我させたら許さないから」

伊織くんの声が、低く落ちた。空気が一気に張りつめる。立ち上がろうとした伊織くんの腕を、私はぐいっと引き止めた。

「私、出てるから。
ちゃんと話して」

伊織くんは不機嫌そうに眉を寄せたが、椿さんはもう一度、深く頭を下げた。廊下に出ると、静かな屋敷の空気に、かすかな声が混じった。
──「好き……」「なんで……」すすり泣く声だった。
椿さんの、長い長い片想いが崩れる音がした。