向日葵は彩る君に恋をした

「なんで!!」

椿さんが叫んだ瞬間、手に持っていた花ばさみが指からするりと落ちた。このままいったら──椿さんの足に当たる。反射的に、私は手を伸ばした。
ズキッ。指に鋭い痛みが走る。でも、落ちる前に受け止められた。

椿さんは目を見開く。

「え、な……なんで」

動揺している。そのとき──

「失礼します、話が──」

伊織くんが慌てて部屋に入ってきた。そして、私の指から流れる血を見た瞬間、表情が一変した。

「葵になにをした?」

低い。今まで聞いたことのない声だった。怒りが滲んでいる。

「わ、わたしは……な、なにも」

椿さんが震える。

「ふざけるな。……許さない」

その一言で、椿さんの肩がビクッと跳ねた。

「大丈夫。落ちそうになった花ばさみを受け止めただけだから。
花ばさみは壊れてないよ」

私は慌てて言う。

「違うだろ。手が優先」

伊織くんは私の腕を引き寄せ、家政婦さんにすぐ処置を頼んだ。血は結構でたけど、傷はそこまで深くない。でも──伊織くんの手は、ずっと震えていた。