向日葵は彩る君に恋をした

じっとりとした視線が刺さる。

「ねぇ、伊織を私に頂戴」

その言葉に、思わず立ち上がった。

「いやです」

「へぇー」

椿さんの目が細くなる。

「私は、伊織くんが好きです。確かに顔も。
でもそれ以上に、花に真剣に向き合う姿勢も、
優しい手つきも好きです。
ちょっと──いや、まあまあだらしないところも可愛いと思うし、私は彼の支えになりたい。
華道家としての道を歩く彼と、並んで歩きたいんです。
だから、貴女に伊織くんは渡せません!」

思いっきり言い切った。年上のプロの華道家に、私は何を言ってるんだろうと思いながらも、胸の奥は不思議と揺らがなかった。椿さんの表情が歪む。

「なによ……それ」

花ばさみを持ったまま、ゆっくりと近づいてくる。

「私はずっと好きだったの。
伊織のこと。
ずっと憧れて、同じ華道家としてようやく隣に並べたのに。
なのに、なんで貴女なの?
おかしいわよ」

距離が詰まる。花ばさみの銀色が、光を反射してちらりと揺れた。刺したりしないよね……?心臓がひやりと跳ねる。