向日葵は彩る君に恋をした

しばらくして、薬師丸さん経由で花の依頼が入った。その依頼主の名前を見た瞬間、私は固まる。──真宵 椿。断るわけにもいかず、頼まれた花を抱えて向かった先は、九条家にも負けないほど立派な屋敷だった。インターホンを押すと家政婦さんが丁寧に頭を下げ、案内された部屋には、和服姿の椿さんが静かに立っていた。やっぱり、綺麗だ。

「わざわざありがとう、葵さん」

「いえ」

「花を見せてもらえる?」

「はい」

花を並べると、椿さんはふっと目を細めた。

「へぇ……丁寧な仕事ね。
これは伊織が気にいるのもわかる。
だから“手元に置いてる”んだ」

その言い方が、胸にひっかかる。帰ろうと立ち上がった瞬間、椿さんの声がふっと落ちた。

「私ね。伊織のこと、ずーっと好きなの。
花以上に綺麗な人、私は知らない」

いける手は迷いなく、その自信が痛いほど伝わる。

「ねぇ、伊織から手を引いてよ」

背筋がぞくっとした。

「貴方は伊織との付き合い、浅いでしょ?
顔で好きになったんでしょ?」

静かな声なのに、刃物みたいに鋭く心に刺さる。