向日葵は彩る君に恋をした

「そんな……ほんとなの?」

「だからそう言ってる」

伊織くんは淡々としているのに、椿さんはグッと唇をかんだ。

「私は認めない!」

そう叫ぶと、紅の着物を揺らして小走りで去っていった。空気が一瞬だけ静まり返る。

「伊織……一瞬でも疑って悪い」

「ほんと、ごめん。てっきり浮気かと」

「九条様……を滅するところでした」

三人が口々に言う。

「え?」

伊織くんがぽかんとする。

「だって、ほっぺにキスはさ……」

山田が言葉を濁す。

「あー、小さいころからされてたから、もう何とも思わなくて」

「いやな慣れだな」

思わず反論してしまう。

「……もしかして、やきもち?」

「そ、そうだけど!」

言った瞬間、伊織くんは口元を手で覆って、少し俯いた。

「……嬉しい」

その小さな声が、冬の空気をふわっと溶かした。三人はその様子を見て、

「おー帰ろう」

「邪魔者は退散ね」

「では、九条様、今年もよろしくお願いします」

と、手を振って去って行った。