向日葵は彩る君に恋をした

「葵?」

普通に声をかけてきた伊織くん。……見られてないと思ってるのか!?心臓が変な音を立てる。

「こんにちは」

椿さんが、紅の着物のままこちらを見つめる。

「えっと、どんな関係で?」

山田がオロオロしながら聞く。

「伊織の幼馴染なんです。
真宵 椿です。華道家をしております」

「と、年上のお姉さん……」

山田が固まる。こっちを見るな。そして首を振るな。“勝ち目ない”みたいな顔するな。

「な、なんでキスしてたんですか!?」

千夏がグッと詰め寄る。つ、つよい。

「あー、見てたんですか」

椿さんはわざとらしく微笑む。

「私、伊織の許嫁なんですよ」

その言葉に──

「「「はぁい?!」」」

三人の悲鳴が重なる。

「違う。そんなの昔のことだろ」

伊織くんはめんどくさそうに椿さんの腕を払う。そして、真っ直ぐ私を見る。

「俺は葵と付き合ってる。
葵以外と結婚する気はない」

その言葉が、冬の空気を一瞬で溶かした。かーっと顔が熱くなる。すると三人が、

「「「おおおおおーーー!!」」」

と感嘆の声をあげた。やめて、恥ずかしい。