向日葵は彩る君に恋をした

そして、初いけ披露が始まった。薬師丸さんも近くに控えている。

「新年あけましておめでとうございます。
初いけ披露、始めさせていただきます」

真斗さんが深く頭を下げ、場が静まり返る。その空気のまま、伊織くんが前へ進む。二人とも、さすがだ。真斗さんのいける花は圧倒的で、まさに“家元”の風格。でも伊織くんの花も負けていない。私が処理した枝も、ちゃんと美しく生かされている。胸が少し誇らしくなる。

「それでは、門下生である──真宵 椿(まよい つばき)さん」

その名が呼ばれた瞬間、紅の着物がふわりと揺れた。艶やかな黒髪。綺麗に揃えられた前髪。立ち姿だけで空気が変わるほどの和服美人。静かに前へ進み、丁寧な手つきで椿と松をいけていく。女性ならではの繊細な動き。その所作が美しすぎて、思わず息をのむ。…すごい。場の空気が、少し張りつめた気がした。
無事に初いけ披露が終わり、私は緊張がほどけたタイミングで弓弦くんに声をかける。