向日葵は彩る君に恋をした

初いけ披露の日。

「伊織くん……なんで私まで着物なの?」

そう言うと、伊織くんは少し困ったように笑った。

「いや、みんな着物だよ。
私服のほうが目立つって」

そう言われて、胸がきゅっとする。なんか緊張する。私場違いではないのかな…九条家の人たちの集まりなんでしょ。そんな不安をよそに亀井さんが丁寧に若草色の着物を着せてくれて髪まで綺麗にまとめてくれた。

「その色似合うな」

伊織くんが腕を組んで、満足そうにこちらを見る。伊織くんはグレーの着物に身を包んでいて、髪もあげ、いつもより大人っぽい。

「ありがとう……伊織くんもかっこいいね」

「さんきゅ」

そう言って笑う。緊張しながら広間に向かうと、

「葵さん!あけましておめでとうございます」

「おめでとうございます」

桃色の着物をまとった桜子さんが、ふわりと笑う。その華やかさに、広間の空気が一瞬で明るくなる。美人だなー。

「伊織と仲良くやっているみたいで安心したわ。
これからもよろしくね。
はやくお嫁にきてね」

さらりと爆弾を落とされて、私は苦笑いする。真斗さんにも同じことを言われたのを思い出す。横を見ると、伊織くんは腕を組んだまま、何も言わない。耳だけ、ほんのり赤い。

「……そうだ、伊織。
お父さんが寂しがってたから、たまには帰ってきなさいよ」

そう言われると、

「やだ」

ふいっと横を向く。

「まったく、二人揃って不器用ね〜。
まあ、いいわ。ではまたね」

桜子さんは軽やかに去っていった。その背中を見送る。